前回の記事では「医療アートメイクとは何か?」について、サロンとの違いや医療機関で行う意味を解説しました。
医療アートメイクに興味はあるけれど、「本当に安心して受けられるの?」「メリットだけでなく、デメリットも知っておきたい」そう感じている方も多いのではないでしょうか。
医療アートメイクは、見た目を整えるだけの施術ではありません。
だからこそ、良い点だけでなく、注意すべき点も理解したうえで検討することが大切です。
このページでは、看護師として医療アートメイクに携わる立場から、【メリット・デメリット】を正直に分かりやすくお伝えします。
医療アートメイクそのものについて詳しく知りたい方は、
▶︎ 医療アートメイクとは?基礎から解説した記事はこちら
医療アートメイクのメリット
医療機関ならではの安全管理・衛生管理
医療アートメイクは、医療機関と連携した環境で行われます。
施術前の体調確認や、衛生管理が徹底された環境で行えることは、大きな安心材料です。
その大きなメリットは、安全管理と衛生管理が医療基準で行われていることです。
医療機関では、器具の管理や消毒、使い捨て資材の使用、体液などへの感染対策などが明確な基準のもとで徹底されています。
また、看護師として、万が一の際にも対応できる体制が整っていることは、施術を行う側にとっても、受ける側にとっても重要だと感じています。
麻酔が使用でき、痛みをコントロールできる
医療アートメイクでは、医療用の表面麻酔(クリーム麻酔の塗布)を使用することが可能です。
痛みを抑えることで施術中の緊張や体の力みが軽減され、結果として仕上がりの安定にもつながります。
痛みは強い人、弱い人と個人差が大きいです。
「思っていたよりも落ち着いて受けられた」と感じる方も多く、実際に施術中に眠っておられる方も少なくありません。
痛みは我慢すれば良いものではなく、身体的・精神的な負担を減らすことも、安全な施術の一部だと考えています。
1人1人の肌状態や体調を見極めながら施術ができる
皮膚状態は一人ひとり異なります。
医療アートメイクは、誰にでも同じ方法で行うものではありません。
既往症や治療方法、肌質、体調、年齢、ホルモンバランスなどの個人差を踏まえたうえで、施術の可否や方法を慎重に判断することができます。
看護師は皮膚構造や身体の変化を解剖整理など基礎から理解しており、その日の状態に合わせて施術内容を調整する判断ができます。
これは医療に携わってきた看護師だからこそできる、無理のない選択をサポートができる医療アートメイクならではの大きなメリットです。
万が一のトラブル時に医療的判断ができる
赤みや腫れ、出血、違和感などが出た場合でも、医療的な視点で状態を見極め、必要に応じて医師と連携できる体制があります。
「トラブルが起きない」ように完全に防ぐことよりも、起きた時に適切に対応できる環境があることが、医療アートメイクの安心材料です。
医療アートメイクのデメリット
誰にでも向いている施術という訳ではない
医療アートメイクは、とても魅力的な施術ですが、すべての方に適しているわけではありません。肌の状態や体質、持病、服薬状況、皮膚状態によっては、施術時期の調整や見送るなど、慎重な判断が必要な場合もあります。
「施術できない」と判断することも、安全を最優先に考える医療アートメイクの大切な役割です。
だからこそ、事前のカウンセリングがとても重要です。
ダウンタイムや個人差がある
施術後には、赤みや腫れなどのダウンタイムが生じることがあります。
多くの場合は時間とともに落ち着いていきますが、回復のスピードには個人差があります。
施術後の過ごし方についても、事前にしっかりと理解しておくことが大切です。
一度入れた色味は簡単には消せない
医療アートメイクは、一定期間持続する施術です。
そのため、「なんとなく」で決めてしまうことはおすすめできません。
仕上がりのイメージや生活スタイルを考えながら、納得して選ぶことが重要です。
MRI検査について(アートメイクの影響)
アートメイクやタトゥーがある場合、MRI検査において注意が必要な点があります。
多くの場合は問題なく検査可能ですが、まれに
・熱感や違和感(特にアイライン)
・ごく軽度の熱傷のリスク
があるとされています。
特に上下にアイラインが入っている場合、
形状によっては熱を帯びやすい可能性も指摘されています。
また、
・画像の乱れ(アーチファクト)による診断精度への影響
・MRIの磁場や機種による対応の違い
などの理由から、
・検査先の医療機関に事前申告が必要
・同意書の記入が必要な場合がある
・場合によっては検査の延期や制限
が求められる場合もあります。
さらに、緊急時などご本人が申告できない状況では、
安全確認のため検査がスムーズに行えない可能性もあります。
大切なポイント
MRI検査を受ける際は、
アートメイクの有無・部位を必ず申告することが重要です。
継続的に検査を受ける可能性がある方は、アートメイクを受けられる前に主治医へ相談しておくと安心です。
当院で使用する色素について
当院では、メーカーにより
MRI検査への影響が少ないとされる色素を使用しています。
ただし、すべての環境で完全に影響がないことを保証するものではないため、
最終的な判断は検査を受ける医療機関にて行われます。
こうした点も含めて、施術前にしっかり説明を受けておくことが大切です。
こんな方は注意が必要です
医療アートメイクは多くの方にメリットがありますが、すべての方が直ちに施術を受けることができるわけではありません。
以下に当てはまる方は、事前にしっかりと相談することが大切です。
妊娠、授乳中の方
妊娠中や授乳中は、ホルモンバランスの変化により皮膚が敏感になりやすく、色素の定着やダウンタイムに個人差が出やすい時期です。
また、妊娠中は体調の変化が起こりやすい時期でもあり、長時間の仰向け寝の姿勢が胎内の赤ちゃんや母体であるお客様ご本人の体調への影響も有り得ます。
授乳期間の場合は一時的な断乳が必要になるなど、赤ちゃんの栄養管理やお母さんとの愛着形成など、大切な時期でもあります。
万が一のリスクを避ける目的でも、施術時期の調整をご提案する場合があります。
「今はやらない方がいい」という判断も、母体と赤ちゃんの安全を最優先に考えた医療的判断です。
アトピー性皮膚炎など、皮膚疾患の治療中や肌トラブルが起こりやすい方
皮膚疾患がある場合、肌のバリア機能が低下していることがあります。
その状態でアートメイクを行うと、
- 炎症が長引く
- 色素が均一に定着しない
- ダウンタイムが強く出る
といったリスクが高くなるため、皮膚の状態が安定しているかどうかの見極めが重要です。
医療アートメイクでは、「今できるか」だけでなく、「今やるべきか」という視点で判断します。
アレルギーや持病があり治療・服薬中の方
持病の種類や服薬内容によっては、
- 出血しやすい
- ダウンタイムが長引く
- 感染リスクが高まる
- 麻酔アレルギーの場合は麻酔が使用できない
- 重度の金属アレルギーの場合は施術が受けられない場合がある
といった影響が出る場合があります。
そのため、事前にお身体の状態や服薬状況を確認し、必要に応じて医師と連携した上で施術を検討します。
場合によっては、治療に当たられている主治医に許可をもらって頂く場合もございます。
これは制限ではなく、より安全に施術を受けていただくためのプロセスです。
ケロイド体質と診断されたことがある方
ケロイド体質の方は、皮膚への刺激をきっかけに、傷跡が盛り上がる反応が出やすい状態にあります。
アートメイクは皮膚に針を使う施術のため、施術部位・深さ・回数などを慎重に検討する必要があります。
無理に施術を進めるのではなく、リスクをきちんと説明した上で判断することが大切です。
ダウンタイムを全く取れない方
医療アートメイクでは、施術後に以下の状態となることがしばしばあります。
- 赤み
- 腫れ
- かさぶた
これらは正常な反応ですが、大切な予定が直前にある場合などは、施術時期の調整をおすすめしています。
「仕上がりをきれいに保つためにも、ダウンタイムを想定したスケジュール調整」が重要です。
無理に施術を進めるのではなく、安心して受けられるタイミングを一緒に考えることを大切にしています。
デザインを頻繁に変えたい方
流行眉・その時の気分で変えたい方には、簡単に薄くなることのないアートメイクは不向きと言えます。
アートメイクは”眉のベースを作る”施術です。
その日によって眉のデザインを変えたい方は、アートメイクではなく、普段のメイクで楽しんでいただくことをオススメいたします。
「自分は向いているのかな?」と気になる方は、
▶︎ 医療アートメイクはどんな人に向いている? の記事もあわせてご覧ください。
■医療アートメイクを受ける前に考えるべき大切なこと
医療アートメイクは、「気になったからやってみる」という感覚だけで受ける施術ではありません。
皮膚に色素を入れる医療行為である以上、事前にきちんと考えておくことで、満足度や安心感が大きく変わります。
ここでは、施術を検討する際に、ぜひ知っておいてほしい大切なポイントをお伝えします。
一時的な仕上がりではなく「数年先」を想像すること
医療アートメイクは、メイクのように毎日簡単に消したり変えたりできるものではありません。
施術直後だけでなく、
・色が落ち着いた後
・数年後に薄くなってきた時
までを見据えてデザインを考えることが重要です。
流行や一時的な好みだけでなく、年齢やお顔立ち、ライフスタイルの変化にもなじむデザインかどうかを一緒に考えることが大切だと考えています。
「安さ」だけで選ばないこと
医療アートメイクは、価格だけを見ると幅があり、安価な施術に目が向くこともあります。
しかし、そこには
・施術環境
・衛生管理
・使用する色素の質や資材のレベル
・施術者の資格や経験
といった背景の違いがあります。
特に顔に関わる施術だからこそ、「何に対しての価格なのか」を理解した上で選ぶことが大切です。
施術者との相性・考え方を大切にすること
アートメイクは、価格や施術者の技術だけでなく、考え方や価値観によって仕上がりの方向性が大きく変わります。
・不安や疑問をきちんと聞いてくれるか
・無理に勧められないか
・リスクやデメリットも説明してくれるか
こうした点は、安心して任せられるかどうかの重要な判断材料です。
「今できるか」ではなく「今やるべきか」を考えること
体調や肌状態、ライフイベントによっては、「できるけれど、今がベストではない」
という判断が必要な場合もあります。
医療アートメイクでは、施術を行わない、または時期を調整する判断も、安全とお客様の快適なアートメイク生活を守るための大切な選択です。
無理に進めず、その方にとって一番良いタイミングを一緒に考えることを大切にしています。
不安を抱えたまま進めないこと
「聞いていいのかな」
「こんなこと相談して大丈夫かな」
そう感じることほど、実は一番大切なポイントであることが多いです。
医療アートメイクは、不安を我慢して受けるものではありません。
納得した上で施術を受けることが、満足度の高い仕上がりにつながります。
■まとめ
医療アートメイクを受ける前に大切なのは、「きれいになること」だけではなく、安心して選び、納得して受けることです。
医療アートメイクは、「誰にでも同じように行う施術」ではありません。
だからこそ、正しく理解し、自分に合っているかどうかをよく考えたうえで、一人ひとりに合った選択ができるよう事前のご相談を大切にしています。
メリットだけでなく、デメリットや注意点も理解することで、安心して検討することができます。
少しでも迷いや不安がある方は、無理に決断せず、まずはお気軽にご相談ください。
施術を検討する前に、考え方や想いを知りたい方へ。
施術を受ける前に考えておきたい大切なポイントについては、
▶︎ 医療アートメイクを受ける前に考えるべき大切なこと で詳しく解説しています。
また、医療アートメイクを検討する上で「自分に合っているかどうか」を知ることも大切です。
▶︎ 医療アートメイクはどんな人に向いている?についてはコチラ。

